「担保」か「保証人」をつける努力を・・・
「担保」か「保証人」があれば有利
起業促進を目的として、新規開業者向け融資を積極的に手掛ける「国民生活金融公庫」(国金)といえども民間金融機関と同様に、原則として、不動産や有価証券などの「担保」の差入、あるいは「保証人」をつけるか、どちらかをあなたに要請します。
貸したお金はきちんと返してもらえるように、債権の保全についてもできるだけの手当てを図るのはお金を貸す側として当然のことでしょう。営利を目的としない政府系金融機関とはいうものの、万一貸付が焦げ付いて返してもらえない場合には、国金が蒙る損失を「国民の税金で穴埋め」しなければならないのですから。
例えば国金で取扱う「新規開業ローン」では、運転資金4,800万円まで、設備資金7,200万円まで融資が可能な制度ですが、担保差入または保証人のどちらかが必要とされています。
数百万円程度の融資案件の場合、担保差入は求められないものの、あなたと生計を別にする保証人を少なくとも1名つけることを要請されることが多いようです。
「第三者保証人等を不要とする融資」という制度もあります。
この制度ではあなた自身や配偶者などご家族、または自社の役員が保証人となることができますが、税務申告を2期以上行っていることが適用条件のひとつとされていますので、新規開業段階では対象外となります。
1000万円を超える融資案件になりますと、不動産など担保の差入を要請されるようです。
担保物件の評価については、「掛目」といって時価相当額よりは少し低い評価額に抑えられるのが通例です。不動産の担保価値評価は時価の70%程度ですが、立地条件などの理由で売却がスムーズにいかないことが想定される場合はさらに低い掛目での評価となるようです。
不動産の特性として、担保物件を処分売りしたいときに買い手をすぐに見つけられるとは限らないこと、物件の個別事情の要素が売買価格決定に大きく影響する等、スムーズに現金化できるとは限らないため、担保価値評価は時価よりも低めの評価とされるのです。
「担保」「保証人」が不要な融資制度として、「新創業融資」という制度も用意されています。無担保・無保証というメリットがある反面、融資限度額は自己資金の2倍かつ最高でも1000万円までと低めに設定されていること、また借入金利は「新規開業ローンの金利+1.2%」と高めに設定されているのがデメリットといえます。
お金を貸す側の立場でいえば、新創業融資の融資可能限度額を低めにしているのは、貸付金が万一焦げ付いても最小限の損失で済むようにしたいためですし、また支払金利を高めに設定しているのは、債権保全なしに融資することによる焦げ付きリスクの見返りというわけです。
あなたにとって有利な条件で、かつ可能な限り多額の融資を受けようと考えるのであれば、「新規開業ローン」の利用を前提に、まずは不動産などの担保差入、あるいは生計を別にする保証人をつけることを検討すること。
これが、開業資金調達成功への近道といえましょう。